top of page
10:00〜10:45
リメンバー・ミュージック

【ローテク日記#3】AI交通情報を作ってみた(前編)〜文系ラジオマン、相棒のAIと「AI新人ナビゲーター」を育てる〜

  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

エフエムゆめウェーブ浅口スタジオの「K」です。

当ブログでは、ゆめウェーブがどのようにテクノロジーを放送に活用しているか、その裏側をご紹介しています。今回は「AI交通情報」について、前編をお届けします。


ラジオの「交通情報」が抱えるジレンマ


ラジオと交通情報は、昔から非常に相性の良いコンテンツです。ゆめウェーブでも、これまでは生放送中のスタジオから専門の方に電話で呼びかけ、交通情報を伝えていただくスタイルを続けてきました。


一方で、この方法は基本的に「生放送」とセットになります。少人数で運営するコミュニティFMでは生放送の枠に限りがあり、深夜早朝や、突発的な災害時に急遽交通情報を入れたい場合などに対応できないというジレンマがありました。


そこで、電話による中継だけに頼らず、データ配信とAI音声を組み合わせて、交通情報を24時間いつでも自動放送できる仕組み作りに取り組むことにしました。


まずは、交通情報データを入手する


交通情報のデータには専門の提供サービスがあります。ゆめウェーブでは専門業者と契約し、データを取得する環境を整えました。このデータは24時間365日、5分ごとに自動更新される安心の定額サービスです。これなら、AI交通情報の「材料」として十分に機能します。

交通情報を、どうやって「原稿」にする?


ここからが少し技術的な壁になります。

このサービスでは、ゆめウェーブ専用のWEB画面に、あらかじめ指定した岡山県内の地域や道路の交通情報が絞り込まれて表示されます。


データ自体はCSV形式でも取得できるのですが、あくまでデータ用であり、そのままAIに「原稿として読んで」と渡せるような状態ではありませんでした。

そこで、WEB画面上に表示された情報をプログラムで自動抽出し、アナウンス専用の原稿データに成形し直すという方法をとることにしました。


人がWEB画面を見て、必要な情報を拾い出し、放送用の原稿にまとめる。

その作業を、プログラムとAIを組み合わせて自動化するイメージです。

私、文系です。頼れる相棒は「Gemini」


ここで一つ問題がありました。私は文系で、いわゆるプログラマーではありません。当然、自動抽出のためのスクリプト(プログラム)なんて書けません。


では、どうするか。ここは生成AIに助けてもらうことにしました。当時使っていたのはGoogleのAI「Gemini」です。

WEBのURLや画面の状況をGeminiに提示し、「この情報を取得してほしい」「こういう形にしたい」と指示を出しては修正する……これを繰り返すこと何十回。


そして――なんとか、それらしいスクリプトが完成しました。

しかし、いざ出来上がった原稿を音声合成に読ませてみると、問題が山積みでした。


・アナウンスの速度が不安定

・道路名や交差点名の区切り方がおかしい

・読まなくていい「ふりがな」まで全力で読んでしまう

・情報量が多いと、予定した放送時間をオーバーして途中でフェードアウトする

これは「超素人の新人パーソナリティ」だ


普通なら、「うわぁ、やっぱりAIは使えないなぁ」と匙を投げてしまうところかもしれません。しかし、ラジオ局で長く働いてきた私には少し違って見えました。


「超素人の新人パーソナリティが入社してきて、初めてテストで原稿を読ませた状態」と考えれば、あまり変わらない気がしたのです。最初から完璧に読める人はいません。


私はこれまでの仕事の中で、新人教育用の教材を作ったり、パーソナリティやディレクターの育成に関わってきた経験があります。

「それなら、その時に新人に教えたことを、そのままAIにも教え込めばいいのでは?」


直接人間を指導するのとは違い、Geminiにスクリプトの修正指示を出すという形ですが、根本の考え方は同じです。「こういう場合は、こうする」という番組としてのルールを、一つずつ追加していきました。


ルール①:冒頭と終わりを定型化する

「●月●日●時●分現在の道路情報を、交差点名でお伝えします……」と、毎回同じ形式で始まり、同じ形式で締める。


ルール②:情報が多すぎるときは、絞り込む

渋滞件数が多い場合は時間がオーバーしてしまうため、「混雑●か所以上」の場合はゆめウェーブの放送エリア内を優先して読む。


ルール③:同じ市町名が続く場合は省略する

「笠岡市○○……笠岡市△△……」と繰り返すよりも、2回目以降は市町名をカットした方が聞きやすくなるため。


まるで新人に「ここはこう読んでね」と教えているかのように、画面に向かってGeminiとの対話が続きました。


1か月足らずでの急成長を、ぜひお聞きください


開発を始めたのは3月上旬。そして、春の番組改編が始まるのは4月1日。

猶予は1か月もありませんでした。

とにかく作って、試して、直す。その繰り返しです。


最初の音声と、少し修正した音声。さらに修正した音声。そして現在の音声。

並べて聞いてみると、いかにこの「新人AI」が成長していったかが分かります(笑)。


【音声】3月上旬版(初テスト・ボロボロ)

【音声】3月中旬版(少しマシになった)

【音声】4月上旬版(無事デビュー!)


【音声】2026年8月現在(すっかりベテラン)

※音声データの作成日はすべて2026年8月11日です。


ぜひ、聞き比べてみてください。

次回の後編では、こうして作った原稿を、実際にどのように放送システムと連携させ、難読地名の壁をどう乗り越えたのかをご紹介します。

bottom of page