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【ローテク日記#4】AI交通情報を実際に動かしてみた(後編)〜中古PCから始まった運用と、終わりなき「辞書登録」〜

  • 11 分前
  • 読了時間: 6分

エフエムゆめウェーブ浅口スタジオの「K」です。

今回は「AI交通情報」について、後編です。


前回は、生成AI(Gemini)と格闘しながら交通情報のデータを取得し、放送用の原稿に成形してAI音声を作るところまでをご紹介しました。今回は、いよいよ実際の放送設備につないでみます。


まず、動かすパソコンがない


スクリプトはできました。AI音声も作れるようになりました。

しかし、ここで現実的な問題がひとつ発生します。このシステムを、どのパソコンで動かすのか?


立派なサーバーがあるわけでもありません。とりあえず、浅口スタジオの情報収集用に用意していた中古の格安ノートPCでテストすることにしました。本番の放送設備にいきなり直結するのは少し不安なので、間に音量調整用のミキサーを入れて接続します。


テスト放送は、3月28日(土)の昼間に行うことにしました。設定時刻は12時55分。


いざ本番。スクリプトを起動すると……無事に放送されました!音量も問題ありません。

まずは第一関門クリアです。そして4月1日から本番運用を開始し、現在に至ります。


手作り感満載のシステム構成


現在のシステムは、簡単に説明すると次のような構成です。


①パソコン(頭脳)

交通情報データを作成するスクリプトと、音声を再生するスクリプトを動かしています。当初は中古のノートPCでしたが、2026年8月11日より、社内で確保できたワークステーションへ無事移行しました。

OSはWindows11Pro。スクリプトはタスクスケジューラで回しています。


②オーディオキャプチャユニット(出力)

パソコンから音声を出力するための機器です。4,000円程度のもので、アナログ入出力が各1系統あります。


③ミキサー(調整)

音量などを調整するための1万円程度の小型アナログミキサーです。


④放送設備(オンエア)

最終的にここから実際のラジオ放送として送出されます。


非常に簡単な構成ですが、これでAI交通情報が元気に動いています。

自分が休みの日に、AIに感謝する


現在、日中はおおむね1時間に1~2回、交通情報を放送しています。

運用開始当初はスクリプトがうまく動かないことも数回ありましたが、現在は安定して稼働しています。


当たり前のことですが、「人が常時対応しなくても、交通情報を定期的にアナウンスしてくれる」というのは、実際に運用してみると本当にありがたいものです。

自分が休みの日にラジオを聴いていて、AIナビゲーターが交通情報を読んでいるのを耳にすると、AI相手にちょっと感謝したくなることすらあります(笑)。


作って終わりじゃない!5つの泥臭い改善


しかし、AI交通情報は「一度作って完成」ではありません。本番運用を開始してからも、さまざまな事象が発生するたびに修正を繰り返しています。


① 0.2秒の戦い(時計のずれ)

パソコンの時刻と、実際の放送設備側の時刻を完璧に一致させることは難しい問題です。コーナーは決められた時刻から始まるため、ほんのわずかなズレでも「BGMの頭が不自然に切れる」といった問題が起こります。

そこで、コーナーの冒頭は「5秒のフェードインで始まる」ようにし、BGMもフェードインで違和感のない曲を選ぶことで解決しました。


② 終わりなき戦い(交差点名の読み方問題)

ラジオにとって、地名は永遠の課題です。「町」ひとつとっても「ちょう」と「まち」があります。

これについては「辞書ファイル」を用意し、AIに正しい読み方を登録しています。しかし交通情報は「渋滞した場所のみ」表示されるため、めったに登場しない交差点名が突然現れることも。そのたびに確認して辞書に登録する、まさに終わりのない作業です。



③ どう読むのが正解?(事故・規制情報の読み方)

「事故 車線規制」もあれば、「人身事故 1車線規制」、さらには「電話工事 その他規制」など、「ラジオでどう読めば自然なんだろう?」と悩むケースが多々あります。こうした場合も、その都度適切な読み方を考えて辞書に登録しています。



④ 尺が余る問題(時間調整用の啓発文)

AI交通情報の放送枠は「3分40秒固定」です。朝夕は情報が多く、昼間は少ないため、時間が余ってしまいます。

そこで、「平日・土日」「朝・昼・夕・深夜」などの条件を判定し、空き時間に応じて「引き続き安全運転をお願いします」といった交通安全の啓発文を自動選択して放送するようにしました。

(※将来的にはAIにその場でアナウンスを作らせたいですが、突拍子もないことを言い出すと危険なのでお預けです 笑)


⑤ 交差点付加情報機能

交通情報を聞いていると、「○○交差点」と言われても、土地勘がない方には場所が分かりにくいことがあります。

そこで、あらかじめ登録した交差点に、補足情報を付けて読み上げる機能も作りました。

例えば、

「下追分交差点 渋滞400メートル」

という情報を、

「下追分交差点・ゆめネット笠岡放送前 渋滞400メートル」

のように、場所をイメージしやすくするための情報を追加します。

まだまだ、どんな情報を付けると分かりやすいのかは試行錯誤中です。


これから、どうする?


カーナビの渋滞情報が普及した現在でも、画面を見ずに「先の情報」を得られるラジオの交通情報には大きな役割があります。特に通行止めや車線規制などの情報は、災害時の交通路確保という観点からも重要です。


そこで、今後はこんな展開を考えています。


①気象情報とリンクした啓発情報の放送

別途運用している「AI天気予報」のデータ(雨や風の実測値、警報など)を活用し、「雨が強くなっているためスリップにご注意ください」など、天候と連動したアナウンスの自動化。


②さらに多頻度の放送へ(24時間稼働)

現在は深夜・早朝には放送していませんが、災害時などを考慮し、24時間に近い運用についても検討していきたいと思っています。


③付加情報の取り込み

例えば火災が発生している場合は、火災情報を取り込んで告知することで、緊急車両の優先通行の啓発と渋滞回避ができるかもしれません。



今回は、AI交通情報を「作るところ」から「実際に放送するところ」までをご紹介しました。

とはいえ、まだまだ進化の途中です。


AIに交通情報を読ませる。


それだけなら、今ではそれほど珍しいことではありません。

でも、地域の交通情報を毎日安定して放送するためには、データの取得、文章の整理、読み方の調整、時間の制御、音声出力、放送設備との接続など、いろいろな小さな仕組みが必要になります。


そうした「小さな仕組み」を一つずつ作っていくのも、コミュニティFMの裏方の仕事なのかもしれません。


これからも少しずつ改良していきます。

今後のAI交通情報にも、ぜひご注目ください。



2028年8月現在の設置状況。人に見られても大丈夫?な程度にはすっきりしました。


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